生まれて初めて君が代を許せた

閉会式の「君が代」をきいて、初めて、ああいい曲かもしれないと思った。

音楽・歌という手段を使って、国威を発揚させること自体、あまり好きではないけれど、そもそも君が代という曲自体が嫌いだった。戦時中に、君が代の「君」は天皇のことを指していて戦争に用いられたから反対とかそういうことではなくて、曲が暗くて暗くていやだ。葬送行進曲みたい。喪服が似合う。それに歌いにくい。歌詞の意味もよくわかんない。

海外と比べる必要もないけど、アメリカとかフランスとかの国歌は、それに合わせて国旗でも挙がれば、おお我が国はすばらしいとか思える曲調になっているように聞こえる。なんかもっと朗々と歌い上げるようなものが、国威発揚にもいい気がするから、憲法なんかより、国歌を変更する主張を保守の人はしたほうがいいんじゃないですかと考えていた。

ただ、今回のリオ五輪の閉会式で流れた君が代はすばらしかったと思う。たるい前奏はなく、歌声のハモりによって神聖なものに変わっていた。いかにも海外の日本に対するイメージに嵌っていて、さらに日の丸が形作られる演出ともマッチしていて編曲の意味をすごく感じられた。リオの閉会式は、いろいろおもしろかったけど、「君が代」も捨てた曲じゃないと思えたのが実は一番の収穫だったかもしれない。

いい曲じゃん「君が代」、かごめかごめみたいで。